岐阜県揖斐川町までやって来ました。
弊社の地元と同じ岐阜県ですが、こちらは西濃地区で直線距離では約60km離れています。
今回は別件で岐阜市内に寄った後に訪問しましたので、実際には更に距離が長くなっています。
実は以前にも出張撮影で、揖斐川町へお邪魔した事があります。
この時は早朝から建築写真の撮影で、その後すぐに戻る必要があったので、他の場所には寄っていませんでした。
今回の主目的は、揖斐川歴史民俗資料館へ来ることでした。
企画展で「増山たづ子さんの写真展」が開催されており、それを見学しました。
(企画展は既に終了)
「増山さん」とは、徳山ダムの建設により全村が廃村、湖底に沈むことになった旧徳山村の写真を20年以上にわたって撮影した方です。
徳山村の方々からは「カメラばあちゃん」と、いつの日からか呼ばれていたようです。
60歳を過ぎてから、地元である徳山の自然や生活を撮影し続け、ダム建設によりご自身の住居を移転した後も撮影の為に通い続けました。
元々は普通の主婦ですので写真のスキルは無く、それでも撮りたいとコンパクトカメラで撮影し続けました。
2006年にダム本体は完成、試験湛水にて村が湖底に沈みましたが、その同じ年、沈む村を見る前に増山さんは亡くなりました。
今回の写真展の作品の多くは、増山さんが保管されていたそのままで展示されていましたので、
プリントはL版サイズが多くて、写真展としては異例の形式です。
(通常は拡大した作品が並ぶことが多いので)
しかし、作品には力が有り、私の心に強く訴えかけられました。
何故なのでしょうか?
言葉では上手く言い表せないのですが、多分増山さんが撮影した時の心がそのまま写真に乗り移っているんだろうと思います。
良い作品とは理屈ではなく、多分そう言うものなのだろうと思います。
私自身もその様な気持ちを感じながら、それをストレートに表現したいと思い、写真家になりました。
現在、その様な気持ちを感じる事、そして表現できているのだろうか?
初心に戻りつつ自問自答しながらも、目の前の作品の思いに浸りながら何度も何度も、繰り返し見て廻りました。
現在は、増山たづ子さんから託された方(お一人)が、10万カットにも上る増山さんの作品を管理されているそうです。
整理するだけでも大変な労力を必要とすると容易に推測が出来、大変なご苦労かと思います。
これからもいつでも見られて、そしていつまでも大切に保存されていく事を願うばかりです。
因みに、東京都美術館にて昨年写真展が開催、そして今年はフランス・パリでも増山さんの写真展が開催されているそうです。
本ブログの写真は、写真展会場となった「揖斐川歴史民俗資料館」です。
館内には通常展示として、揖斐川町の歴史や民族はじめ、今までの記録が沢山展示されていました。
また、敷地内には旧徳山村の住居が移築されており、見学する事も出来ました。
当日は、スタッフの皆さまに詳しくお伺いしたり、大変お世話になりました。
この場をお借りして、御礼申し上げます。
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